沖縄は、全国のなかでは人口の増加が長く続き、子どもの割合も比較的高い地域として知られてきました。

その特徴は今も一部に残っています。ただし、県全体の人口は2020年ごろを境にほぼ横ばいとなり、出生数と死亡数の関係、年齢構成、県内外の移動は以前と異なる形へ変わりつつあります。

人口が「増えた」「減った」だけでは見えにくい変化を、時間と地域を分けてたどります。

この記事で見えてきたこと

2026年7月1日の沖縄県推計人口は146万5,613人で、2020年国勢調査とほぼ同じ規模です。一方、2024年は出生より死亡が3,705人多く、自然減となりました。人口移動が減少を和らげていますが、那覇などの既成市街地と都市圏の外縁、北部、離島では動きが異なります。県全体の人数よりも、年齢構成と住む場所の変化が暮らしに強く表れ始めています。

現在の146万5,613人をどう読むか

沖縄県の推計人口は、2026年7月1日現在で1,465,613人です。前年同月より366人、0.02%増えており、直近の一年だけを見ればほぼ横ばいです。

2020年国勢調査の1,467,480人と比べると1,867人、0.13%少なくなっています。1970年代から続いた大きな人口増加が急に反転したというより、増加率が少しずつ小さくなり、現在は増減が拮抗する時期に入ったと見るほうが実態に近いでしょう。

指標 人数・世帯数 2020年国勢調査との比較
2026年7月の推計人口 1,465,613人 −1,867人(−0.13%)
男性 721,099人
女性 744,514人
推計世帯数 668,018世帯 +53,310世帯(+8.67%)

人口がほぼ同じ規模でも、世帯数は増えています。一人暮らしや少人数世帯の増加など、世帯の形が変化している可能性があります。ただし、この表だけでは家族構成や増加の理由までは特定できません。

行政サービスや住宅需要を考えるとき、人口総数と世帯数を別々に見る意味がここにあります。

1970年から2020年までに人口は約55%増えた

長期的に見ると、沖縄の人口は大きく増えてきました。

人口 1970年からの変化
1970 945,111人
1980 1,106,559人 +17.1%
1990 1,222,398人 +29.3%
2000 1,318,220人 +39.5%
2010 1,392,818人 +47.4%
2020 1,467,480人 +55.3%
2026年7月 1,465,613人 +55.1%

1970年から2020年までの50年間で、人口は約52万2,000人増えました。自然増に加え、都市化、住宅地の拡大、県内外からの移動などが重なった結果です。

ただし、この長期増加をそのまま将来へ延ばすことはできません。人口の増減を形づくる出生、死亡、移動の組み合わせが変わっているためです。

子どもの割合が下がり、高齢者の割合が上がった

人口総数より大きく変わったのが年齢構成です。

0〜14歳 15〜64歳 65歳以上
1975 31.3% 61.6% 7.0%
1990 24.5% 64.9% 9.9%
2000 20.0% 65.4% 13.8%
2010 17.7% 64.5% 17.3%
2020 16.6% 60.8% 22.6%

1975年には、およそ3人に1人が14歳以下でした。2020年には約6人に1人です。65歳以上は同じ期間に7.0%から22.6%へ上がりました。

2025年1月1日の住民基本台帳年齢別人口を本記事で合計すると、0〜14歳15.8%、15〜64歳60.3%、65歳以上23.9%となります。国勢調査と住民基本台帳は対象や基準日が異なるため、数値を一本の連続した系列として扱うことはできませんが、年齢構成の方向は共通しています。

沖縄は全国と比べて子どもの割合が高く、高齢化率は低い地域です。それでも、学校、働く人、医療・介護、地域交通などを利用する人数の組み合わせは、すでに変化しています。

出生率が全国より高くても、自然減になっている

2024年の沖縄県では、出生数が11,753人、死亡数が15,458人でした。差し引きでは3,705人の自然減です。

2024年 沖縄県 全国 読み方
出生数 11,753人 前年より796人減少
死亡数 15,458人 出生数を上回る
出生率(人口千対) 8.2 5.7 全国より高い
死亡率(人口千対) 10.8 13.3 全国より低い
合計特殊出生率 1.54 1.15 全国より高い
自然増減 −3,705人 出生より死亡が多い

沖縄の合計特殊出生率1.54は全国で最も高い水準ですが、沖縄自身としては過去最低でした。また、出生率が比較的高くても、子どもを産む年齢層の人口や死亡数との組み合わせによって、出生数が死亡数を下回ることがあります。

「全国より出生率が高い」ことと「人口が自然に増える」ことは、同じ意味ではなくなっています。

人口移動が自然減の多くを補っている

沖縄県の人口移動報告によると、2024年10月から2025年9月までの一年間は次の動きでした。

増減の内訳 人数
自然増減 −3,698人
社会増減 +3,087人
合計 −611人

転入と転出などによる社会増が、自然減の約84%を補った計算です。人口の規模を保つうえで、人の移動が以前より大きな役割を持つようになっています。

ただし、総務省の2025年の国内都道府県間移動だけを見ると、沖縄県への転入は28,499人、沖縄県からの転出は29,058人で、559人の転出超過でした。

二つの統計は対象期間が異なり、県の報告には県外・県内・国外に関わる「その他」の移動が含まれます。数字を直接差し引くことはできません。国内移動だけでなく、国外からの転入や県内移動も含めて見ることで、全体像に近づきます。

県全体が横ばいでも、住む場所は動いている

2026年7月の人口を地域別に見ると、中部が43.9%、南部が40.0%を占め、二つの地域で県人口の約84%になります。

地域 人口 県人口に占める割合 前年同月比
北部 128,999人 8.8% −0.15%
中部 644,077人 43.9% +0.05%
南部 586,107人 40.0% +0.11%
宮古 53,890人 3.7% −0.13%
八重山 52,540人 3.6% −0.70%

市町村単位では、さらに異なる動きが見えます。2020年国勢調査から2026年7月までの変化を比べると、八重瀬町は+6.67%、南城市は+6.09%、中城村は+4.45%でした。一方、那覇市は−2.74%です。

これは単純な「那覇への一極集中」ではなく、都市圏のなかで住む場所が再配置されている可能性を示します。住宅供給、地価、世帯形成、通勤、道路など複数の要因が考えられますが、人口統計だけから理由を一つに決めることはできません。

小規模な離島や北部では、人口減少と年齢構成の変化が比較的大きく表れる地域があります。その一方、宮古島市のように社会増が続いた時期を持つ地域もあり、「離島」という一つの言葉だけでは整理できません。

外国人住民は3万4,149人になった

2026年7月の沖縄県推計人口に含まれる外国人は34,149人で、県人口の約2.33%です。

県全体の割合はまだ大きくありませんが、那覇市9,367人、沖縄市2,812人、宜野湾市2,785人に加え、恩納村では1,623人と地域人口に占める割合が高くなっています。

外国人住民という集計には、留学生、働く人、家族、永住者など、異なる暮らしがあります。また、沖縄県の推計人口は外交官、外国軍人・軍属とその家族などを対象外としているため、県内に滞在するすべての外国籍の人を表す数字ではありません。

人口の補充要員としてだけ捉えると、地域で暮らす人の姿が見えにくくなります。学校、住居、医療、行政情報、防災など、日常生活とのつながりを含めて読む数字です。

2050年の推計は141万2,026人

国立社会保障・人口問題研究所の2023年推計では、沖縄県の人口は2025年ごろを頂点に緩やかに減少し、2050年に1,412,026人になると見込まれています。

将来推計人口 2020年を100とした水準
2020 1,467,480人 100.0
2030 1,466,170人 99.9
2040 1,449,730人 98.8
2050 1,412,026人 96.2

30年間の減少率は3.8%で、全国の多くの地域より緩やかな推計です。しかし、総人口の変化が小さく見えても、65歳以上の人数は2020年から2050年にかけて増えると推計されています。

2020年の国勢調査を出発点に、出生、死亡、移動について一定の仮定を置いた場合の見通しです。実際の人口は、働く場所、住まい、進学、移動、国際情勢などによって変わります。

人数の多さより、暮らしとの組み合わせを見る

人口の増加は、地域の活力を表す一つの指標です。一方で、人口が増えていても住宅、学校、道路、交通、医療の供給が追いつかなければ、暮らしやすさと同じ方向には進みません。

人口が減る地域でも、そこに住む人が移動、買い物、通院、教育を続けられるかは、人数だけで決まりません。小さな自治体では、一人ひとりの移動が統計上の割合を大きく変えることにも注意が要ります。

沖縄の人口を読み解くとき、次の数字を分けて追うと変化が見えやすくなります。

  • 総人口と世帯数
  • 出生と死亡による自然増減
  • 県内、県外、国外の人口移動
  • 子ども、働く世代、高齢者の割合
  • 外国人住民を含む地域の構成
  • 市町村ごとの増減と生活基盤

県全体では、長く続いた人口増加から横ばいへ移りつつあります。その内側では、世帯数の増加、年齢構成の変化、都市圏内の再配置、離島や北部の変化、国外を含む人の移動が同時に進んでいます。

一つの数字で良し悪しを決めず、地域ごとの暮らしと重ねて見ることが、今の沖縄を知る手がかりになります。

主な出典

本記事は、沖縄県、総務省統計局、国立社会保障・人口問題研究所の公開資料を基にDEEJI編集部が整理・計算した調査記事です。国勢調査、推計人口、住民基本台帳、人口移動報告は基準日と対象が異なるため、異なる統計の差をそのまま人口増減として扱わないよう記述しています。